多数の毒針毛が一度に付着し、ぷつぷつの数が多くて密集しています。
夏にはさまざまな虫による皮膚病が起こります。虫による皮膚病の多くは、皮膚の刺された部位にぶつぶつを生じるもので、虫1匹が1つの発疹(ほっしん)を生じます。
これらの発疹は大体似たような形なので、生じた発疹を見ても刺した虫を特定することはまずできません。
一方、毛虫による皮膚病は虫に直接刺されて起こるのではなく、毛虫の体表から抜け落ちた毒針毛により生じます。この毒針毛の大きさは0.1ミリ程度で目には見えません。1匹の毛虫が何十万本という毒針毛を持っており、これが大量に抜け落ちて皮膚に刺さってぶつぶつを生じます。ぶつぶつ1つ1つを見ると通常の虫さされと大差はありませんが、多数の毒針毛が一度に付着するので、ぶつぶつの数が非常に多く、しかも密集しています。このために発疹を見れば毛虫によるものと推定できます。さらに、ぶつぶつの一部を顕微鏡で見ると毒針毛が見つけられることがあるので、毛虫による皮膚炎であることが確認できます。ぶつぶつの1つ1つには毒針毛が刺さっていますので、治療をするときにはガムテープなどの接着面を発疹に当てて、毒針毛を抜いた後にステロイド軟膏を塗布します。
葉狩皮膚科クリニック 院長
葉狩良孝