メラノーマの可能性があるので、病院で確認してもらいましょう。
「ほくろの痛(がん)」と言われるメラノーマは、体の至る所にできますが、手足の爪にも生じることがあります。爪のメラノーマでおそらく最も有名なのは「巨人の星」のエピソードでしょう。
主人公の星飛雄鳥の恋人、日高美奈の手の爪の中に小さな黒い点ができ、これがやがて彼女の命を奪うという内容で、子ども心に衝撃を受けたのを覚えています。このエピソードは、おそらく私と同年輩の50代後半の多くの方の記憶に残っているものと思われます。
事実、爪のメラノーマの話題のときに、今でもこの話が出ることがあります。
しかしながら、この有名なエピソードには大きな間違いがあります。爪は根元にある爪母(そうぼ)と呼ばれる部分から作られ、伸びていきます。通常、爪のメラノーマはこの爪母を巻き込んで起こっています。メラノーマは黒い色素を作るので、メラノーマのある部分で作られる爪は黒く着色されて伸びていきます。
従って爪のメラノーマの初期の症状は黒い点ではなく黒い線となるのです。
ただし、爪の黒い線がすべてメラノーマというわけではありません。ほくろのような良性のできものによっても爪の黒い線はできますし、皮膚の色素沈着を起こすような病気でも黒い線を生じます。爪の黒い線を見つけたら、専門医の受診をお勧めします。
葉狩皮膚科クリニック 院長
葉狩良孝