細菌感染による皮膚病で、塗り薬や内服薬を使って治療します。
梅雨の始まるころから夏場にかけて、とびひ(伝染性膿痂疹)が生じやすくなります。とびひは細菌感染による皮膚病で、その名の通り強い伝染力があります。この時期によく起こるあせもや虫刺され、またひっかき傷や擦り傷などの小さな傷に感染を生じてとびひになっていきます。
原因菌には2種類あります。もっとも多いのがブドウ球菌です。この細菌によるとびひは薄い水膨れを作り、これはすぐに破れてじくじくしてきます。もう1つの細菌は溶連菌で、この場合は厚いかさぶたを作ります。
とびひの治療には抗生物質の内服と抗生物質を含有した塗り薬を使います。塗り薬はつけた部分にしか効果がありませんから、つぎつぎにとびひができるのを防ぐためには内服薬が必要になります。とびひ自体は通常1週間程度で治りますが、溶連菌によるとびひは後で腎炎を発症する危険があります。このため溶連菌による場合は、抗生物質の内服を10日から2週間程度行う必要があります。また、シャワーはとびひの表面にいる病原菌を洗い落とすのに有効なので、低刺激の石鹸を使って洗い落とすようにします。とびひの発生をおさえるためにも、あせもや虫刺されは早めに治療しておくことが必要です。
葉狩皮膚科クリニック 院長
葉狩良孝