短期間で増加し、かゆみを伴う場合はがん検診をお勧めします。
内臓の悪性腫瘍に関連する皮膚病には、前回の黒色表皮腫の他にもレザートレラ徴侯という病気があります。この病気は躯幹に黒色、褐色のできもの(腫瘍)が多発します。皮膚に多発するこの腫瘍自体は良性で、高齢の方によく見られる老人性のいぼ(脂漏性角化症)と同じものです。この皮膚腫瘍が、数力月程度の短期間で増加し、さらに腫瘍自体にかゆみを伴うのがレザートレラの特徴です。この病気でも前回の黒色表皮腫と同じく、胃がんなどの内臓悪性腫瘍を伴います。
高齢者の方で、何年、何十年もかけてこの腫瘍が増加し、レザートレラと同じように見える事がありますが、長期問かかって徐々に増加してくる場合はレザー・トレラ徴候ではありません。
その他、皮膚のかゆみなども内臓の悪性腫瘍に伴って生じてきます。かゆみ自体はじんま疹や湿疹などの通常の皮膚病に生じるものと変わりはなく、かゆみだけで内臓の悪性腫瘍が疑われるわけではありませんが、悪性腫瘍に伴うかゆみの場合は通常の治療でもなかなか軽快しない頑固なかゆみのことが多いように感じます。そのため、がん年齢以降で頑固なかゆみが続く場合にはがん検診などをお勧めしています。
葉狩皮膚科クリニック 院長
葉狩良孝